
冷気の跡
わたしは泡のようになりたい
泡は花とおんなじように咲き誇るように膨れ上がるけど
かなわずに消えてゆくの
それってだれかの目に止まらないからいいじゃない
ドライアイスは水のなか
君だけぽこぽことこまかい粒子になって散ってゆく
白い話にうんざりしているのに
それでもひんやりと誘惑するから
星ほどの粒子を夜空に渡そうとし…

かれはかれは
みずはみずは?
もってきた
もってあと三か月
よんだかい?
よんだ
数字はよんだ
4ぬけど4あわせのよんでもあるんだ
みずは?
ああ、みずね?
そうおみず
さっきのんだでしょーが!
しょーがない
あとすこしだけ
このやりとり
お父さんのときといっしょだね?
えだからはな…

過去
海のなか
潜っていた感覚でいた若いころ
何もかもが美しいサンゴ礁だった
サザエだってアワビだって伊勢エビだって
なんだって獲れた
水圧が薄くなる彼の歳では
なにもかもが握れなくなり
流れるだけとなった今
クラゲの差し出す手に何かを受け取ろうとする
さんざめく太陽は過去になり
とてもここちいい
心はすっ…

捨てられたパン
遊びがすぎた男の子は
絶望を味わっている
初めてのパン屋さん
あんなになんでも叶ってたのに
だだこねて買ってもらったメロンパンは
とてもおいしいひと口だった
しかしその口で
とっておきの生意気を吐き出した
母は腹を立てて男の子の手からメロンパンをゴミ箱へ捨ててしまった
涙はゆっくりと流れ落ちるだけなのに…

-私の才能は眠ったまま- 私の才能は眠ったまま起きようとしているけれど眠ったままは気持ちがいい
私の才能は眠ったまま起こそうとしてみるけれど眠ったままで返事がない
あなたの才能は眠ったまま?
私の才能は眠ったまま
ゆ
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いつもあなたのベストパートナー♪
でお馴染みの有限会社アップロードでは、…

思う
思うこと
しゃべってなくても思うのを聞いている人がいる
しゃべるのはやめられるけど
思うことはやめられない
思うことにおびえるわたしがいる
この惑星は生きずらい
きれいな惑星はわたしを洗い流す
わたしの毒は洗い流せたか?
今も痛みとなって
残り続ける
by tanimi

踏まれた花
人食い人種に近づいて
沈黙の名がつけられた
あなたは曇りの日に雲を突き抜けて顔を出して
何を踏んだかしったこっちゃないそんないでたち
わたしは花なのに愛された名前だってあるのに
肺にため込んだ空気を
ゆっくりと吐き出す一部始終
その安心感をいつも約束されていたはずなのに
この文章ですらだれかの罠ならば
わた…

グライダー
あの子が柱のうらに隠れた
必死になって気に入られようと何かを企んでいる
それはきっと時間は見ていて
父のグライダーのプロペラを指で巻く
その動作にこめられている
そのせいか ずっとグライダーは
まっすぐ柱を悠々と超えてまっすぐまっすぐ飛んで行った
あの子もあっけにとられた
わたしは
グライダーに向かって走っ…

変身
仮面をかぶったわたしは
思い通りに変身できる
ただ 仮面のうらがわが陰になることが気がかりだ
演じた瞬間
わざわざ自虐的に不安におそわれた
おそわれたというより
自ら「不安」だったらどうだろうと
好奇心からそう思ってしまった
今のは無しにとしても
どうやらこの世界ではそんなお約束はないと突っぱねられてしまう
…

根っこが切れた景色
夜には何もかもが回収され
朝を迎える
街灯が朝日にかわる
もう どこまで明るくしたのか
どこまであたりまえになってしまったか
わたしは呆然と立ち尽くすのだが
根っこが切れた景色を
どれだけの人が見ていたか
by Tanimi
~~~~~~…

炎にあこがれた旗
脳の中の
そのあなたの不純物でドロドロのなかで
旗を捉える
その旗は
まっすぐに空に向かって伸びる竿に頼って
それでもべつだんどんな審判もうけずに
伸びもせず自分の面積を保とうとしている
「旗のようになりたい」
それを言うのにどれだけくねらせてきたのだろう
カタチがいくら変わっても
それはそれで…

SOS
旗を思い描いた
絵になると動かなくなった
悪気はなかったんだ
前も後ろも
はたまた左も右も
地平線だけで
信念が保てずたじろぐ
旗の絶え間ないSOS
救ってやりたかったからだ
by Tanimi
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旗
毎日が一生分
だからいつも全力
風が薄さをあざ笑う
それにあわせて笑う旗のその広大さ
どんな風のいたずらも
ぜんぶ形にしようとする有り余るほどの芸術的センス
そうだ!
僕も旗のようになれば
どんなことも表現できると思う
破れてもいいという風に
ハタ?ハタ?と
体を震わせていれば
いいのだろうか?
…

流転
太陽がくれた日なたの絨毯(じゅうたん)を
空の旅人である雲によって
買われていった
そう
これはなにげない日常
急がなくてもいい日常がここにある
なんのマイナスにもならないし
今、ここで耳を澄ませるなら
なにもきこえないだろう
ふわり ふわり
そろそろゆっくりと雲は
…

アミ
今日は大漁だ!
海は船の去り際でざわめき
完全に月を映せない
どこかでは
当たって砕けろ!と言いながら
癒しをくれる荒波
魚たちは漁師のたちの腕の動きに合わせて何度も水面からあがってくる
魚たちがみた月は鈍い景色からみたものと違い
はっきりと透き通るか
食される快楽になじめるか
おわり

言語
シャープペンシルがカチカチカチ
その言語なら
何も思わなくて済むのに
カメラのフラッシュ パシャパシャパシャ
その言語なら
無駄口は耳に心地いいのに
暗い中 足音を耳で追いかける人
その言語なら
宝のありかを聞き出せるのに
あなたはそのままでいい
…

星の子
あの子は星の子
遠い昔から 気おくれしたひかりをはなつ
わたしはとりとめのないとぎれつづけるひかりを見て
うつろな頭の中でむかしを再現する
やみにほうむられた星たちはひかりまで封じられず
鳴き声を上げた
わたしは水辺から羽ばたく白鳥のうしろすがたを
必死で追いかけた
そして
白い吐く息を目で追うように
わ…